デジタルトランスフォーメーションとは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という仮説である。デジタルシフトも同様の意味である。2004年にスウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマンが提唱したとされる。

DX推進システムガイドライン

  1. DX の位置づけ
    1. 経営戦略とDXの関係
    2. 事業のビジネス・モデルや価値創出の具体化
    3. 戦略方針について社内組織との共有
    4. スピーディーな対応を可能とする変革
  2. 体制・仕組み
    1. ITシステムの基本構想の検討体制
    2. 経営トップのコミットメント
    3. 新たなデジタル技術活用におけるマインドセット
    4. 事業部門のオーナーシップ
    5. ユーザ企業自らの選択・判断能力
    6. ユーザ企業自らの要件定義能力
    7. 評価・ガバナンスの仕組み
  3. 実行プロセス
    1. 情報資産の分析・評価
    2. 情報資産の仕分けと移行プランニング
    3. レガシー刷新後のシステム: 変化への追従力
    4. 経営者自らによるプロジェクト管理
    5. DXの取組の継続

課題

ビジネス創出できない

PoCを繰り返すなど、ある程度の投資は行われるものの、実際のビジネス変革には繋がっていない多くの企業の現状がある[7]

既存システムのブラックボックス化

これまでの既存システムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中では、新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的であるため、その効果も限定的となってしまうといった問題がある。また、既存システムを放置した場合、今後ますます維持・保守コストが高騰する(技術的負債の増大)とともに、既存システムを維持し保守できる人材が枯渇し、セキュリティ上のリスクが高まる[7]

スキルの獲得

デジタルトランスフォーメーションでの課題として最も多く挙がったのが、「適切な技術スキルの獲得」だった。自社の社員をスキルアップできない理由として幹部があげたものとしては、「時間不足」「トレーニングのための構造がない」「組織に知識がない」がトップ3だった[14]。 デジタルトランスフォーメーションの取得の手段として越境転職が増加の傾向にある。[15]

外部との協力

非IT企業や自治体にとっては、そもそもデジタルに抵抗があり、紙での業務処理を行っている場合やSIerに丸投げしていた組織は少なくない。そのため、上流工程が正確にベンダーに出すことが難しい場合もある[16][17]。これはITは非IT企業にとっては本業ではなくコスト部門であったからである[18]。 オープンイノベーションによる、非IT業種とIT企業の協力によって実現を図る場合も多い[19]

2020年12月28日に経産省が発表した「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書」[24]によれば「約500社におけるDX推進への取組状況を分析した結果、実に全体の9割以上の企業がDXにまったく取り組めていない(DX未着手企業)レベルか、散発的な実施に留まっている(DX途上企業)状況であることが明らかになった」と報告され、「我が国企業全体におけるDXへの取組は全く不十分なレベルにあると認識せざるを得ない。」と評価されている。[25]また、この結果はDXの概念が企業に正しく理解されていないことが一因とされている。

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