IoT(アイオーティー)の正式名称は「Internet of Thing」です。直訳すると「モノのインターネット」という意味になり、例えば自動車や家電のような「モノ」自体をインターネットに繋げ、より便利に活用するという試みを示す言葉です。

従来のインターネットといえば、パソコンとサーバーの間など、コンピューター同士を繋ぐものが一般的でした。しかし現代ではスマートフォンとの連携やスマートスピーカーの登場などにより、各方面でインターネットの技術が利用されています。

IoTには、特に定義があるわけではありませんが、インターネットとは無関係だったジャンルのモノとインターネットを繋ぐ際にIoTという言葉が使われることが目立ちます。例えば、エアコンなどの家電を遠隔操作して、帰宅時間に合わせて空調を整える技術もIoTの一つです

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IoTの仕組み

IoTの仕組みとして根幹を支えているのはデータ収集です。対象物には無線、センサー、あるいはカメラといった機能が含められており、モノの周りで何が起きているか、何が求められているかといった点をデータとして集積します。

IoTの開発事例

IoTの開発事例①生活面

例えばエアコンの「どこでもリモコン」は、スマートフォンを利用して外出先からスイッチの切替や設定温度の変更が行える機能。冷蔵庫の場合は、スマートフォンと連動させることによって、扉の開閉数などが表示され、無駄が起きていないかどうかを一目で把握できます。また、家電の使い方がわからないとき、故障したときなども、どこでトラブルが起きているのかをサポートスタッフが即座に確認でき、IoTはアフターサポートというジャンルでも優れた機能を発揮しています。

IoTの開発事例②医療面

医療用のベッドを開発していることで知られるパラマウントベッドでは、ベッド内には多くのセンサーが搭載され、睡眠状態や呼吸数、心拍数といった医療において重要な指数を集約し、表示させられます。このデータは病院側でもモニタリングできるため、急変などの不測の事態にも速やかに対応できます。さらに、電子カルテシステムなどの医療情報とリンクさせることも可能にしており、スタッフ間で患者のデータを、ミスを起こさずに共有することができるため、取り違えなどの重大なミスを未然に防ぐことも可能です。

IoTの開発事例③経済面

経済面では、羽田空港に拠点を持つ「羽田鮮魚センター」を運営する羽田市場では産地や漁師の名前、魚の種類などの情報をシステムに入力することでデータを管理し、Webを通じた小売店や個人からの注文には最短当日に対応して、速やかな商品の提供とルートの最短化を実現させました。

IoTの開発事例④交通面

交通面のIoT活用では、日立グループによる「交通データ利活用サービス」が注目されています。まず、分析精度を向上させるための位置補正技術を開発し、現状把握のレベルを一気に押し上げることに成功しました。これにより施策検討や効果測定にもデータを生かしやすくなり、経営効率化や収益向上という面でも貢献しています。これらの情報収集能力は、交通需要のデータ分析・見える化の推進も果たしています。例えば高速道路においては、車両の混雑や区間の所有時間を可視化し、交通需要予測に役立てているほか、一般道でも同等のデータ提供を通じて、バス運行計画等の見直しにも役立てられています。

IoTの発展に伴う課題

このように様々な可能性を秘めたIoTですが、一方で十分な発展を遂げるためには、「人材不足」という大きな課題を乗り越えなければなりません。IoTでは膨大なビッグデータを分析することになりますが、これを正確にこなすためにはスキルが必要で、IoTを使いこなせる人材がまだ不足しています。また、IoTを活用するためには常時インターネットに接続していること、そして長時間の使用に耐えられるバッテリー性能を持つことが重要です。IoTデバイスの拡大に対応できる接続環境や通信速度は冒頭で紹介した「5G」により改善が見込まれるものの、バッテリーの機能向上は大きな課題です。そして企業側のリスクとしては、導入までに長い時間を要すること、そして高額のコストがかかることを挙げられます。大転換の最中にあるIoTですが、一般企業向けのテクノロジーというためにはまだ時間が必要です。

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