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現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

 

やがて大磯に至り「虎が石」を見る。

鎌倉時代の遊女、虎御前が化したと言われる石だ。今度は喜多八が詠む。

「このさとの 虎は藪にも 剛のもの おもしの石と なりし貞節」

 

これを聞いて弥次郎兵衛

「去りながら 石になるとは無分別 ひとつ蓮の 上にゃ乗られぬ」

 

喜多「そんな心配しなくていいだろ」

弥次「だって別にさ、わざわざ石にならなくてももっと他に化けられたはずやん?」

喜多「まあね」

 

こんな調子でやり取りをしながら、鴫立沢に至る。